設立10周年を振り返って
環境保全ネットワーク京都代表・龍谷大学教授
北川秀樹
2002年12月に、京都府から特定非営利活動法人・環境保全ネットワーク京都の認証を受けてから早や10年が経過した。当初の活動は、前身の環日本海環境研究会を引き継いだものであり、中国の深刻な環境汚染や生態環境破壊の現状を把握し、意見交換するものであった。本NPO法人の定款の「事業」に記載しているように、「東アジア」と「実践及び環境協力活動」を活動のキーワードとしていた。当初、「東アジア」については、「北東アジア」にするかどうかという議論もあったが、できれば日本や韓国を含み東南アジアをも視野に入れようということで地域設定をした。振り返れば、財力も人的資源も乏しいNPO法人にしては、ずいぶんと大きな風呂敷を広げたものである。結果的には、2004年から中国陝西省への植樹協力を開始し、中国に限った協力となったが、日中緑化交流基金などの支援を受け、この間約600ha、金額にして6000万円近い緑化活動を続けてきた。
ここまで継続できたのは、我々のNPO法人の役員には優秀な京都府の林業技術者の方に入っていただいていること、会員にも国境を越えた環境協力に熱意を持っている方が多いことに尽きると思う。これらの方々のご尽力に対して心からお礼を申し上げたい。
協力は順調であったかというと必ずしも首肯できるものではない。日中間には常に過去の歴史問題を契機としたリスクが内在している。2003年の西北大学寸劇事件、小泉首相の靖国神社参拝問題、尖閣諸島問題により何度か植樹ツアーの実施が危ぶまれた。実際、2010年の尖閣諸島沖漁船衝突事件のときは、カウンターパートの三原県政府から安全を保障できないとの理由でツアーの受け入れを断られた。予期せぬ事件により活動が妨げられることを経験し国境を越えた協力の難しさを痛感した。
しかし、私は協力先の現地カウンターパートとの間には深い信頼関係が築かれていると思っている。昨年9月の尖閣諸島国有化によりかつてなく冷え込んだ日中関係の下で実施した11月の植樹ツアーのときにもこのことを実感した。9人のメンバーとともに過去・現在の植樹地4か所を順に回ったが、政府としては表向きには歓迎できない中でも個人的にはいつもと変わらぬ応対をしてくれ、人間関係の大切さを再認識した。
一方、国内での活動はどうかというと、私の所属する龍谷大学の授業の一環としておこなわれた学生の森林整備のフィールドワークにNPOとして協力をおこなったことぐらいであろうか。海外でも国内でもと思っていたが、力は及ばなかった。森林整備以外に省エネ活動については、試行錯誤しながらではあるがこの2年間かなり充実した活動をしてこられた。特に昨年度は地球環境基金の支援を受け、家庭の省エネ活動に乗り出した。家庭での省エネ意識はまだまだ低く、いかに関心を持っていただくかということに苦心したが一定の成果が上がったのではないかと考えている。
10年がたち私も還暦を目前にした年齢となった。世界の社会・経済情勢の変動もめまぐるしいものがあり、設立20周年においても同様の活動を続けられるか甚だ心もとないが最後に今後の活動の抱負と課題を述べたい。
まず、本NPO法人は、環境問題に国境はないとの信念のもとで活動を続けてきた。引き続き中国を中心としたアジア諸国を視野に置いた活動を続けていきたい。とりわけ13億人の人口と広大な国土を抱えた隣国・中国の環境悪化は直接、間接に日本に影響する。過去の協力地の森林の育成状況を注視しつつ、機会があれば新たな協力活動も進めたい。また、地球温暖化防止と生態系保全という視点を大事にしたい。森林整備とともに、民生部門の省エネルギー活動にも引き続き尽力したいと思っている。一方、国内活動としては森林整備、省エネとともに、私が研究対象としている「町家と省エネルギー」活動にもNPO法人の立場から何らかの側面支援をしてもらうとありがたい。町家の保存という「伝統」、住み心地の良い「快適性」、二酸化炭素の排出削減と炭素固定という「低炭素」をキーワードにしている。国産材の利用拡大とエネルギー使用量の低減を同時に実現するものであり、ライフワークとして進めたいと考えている。
課題としては、多くのNPO法人と同様、財政と人員である。外部資金を獲得して継続しなければならず、独自財源をどう捻出するかということは未解決である。また会員の拡大、さらには事務局の強化であろうか。そのためにはやはり活動についての一層の独自性の発揮と外部への訴えかけが必要である。今後とも皆様のご理解、ご支援をお願いしたい。
回顾成立10周年
环境保护网络京都代表﹒龙谷大学教授 北川 秀树
自2002年12月,我们NPO法人获得京都府授予的“特定非营利活动法人・环境保护网络京都”的认证,已经过去了10年。活动当初是继承其前身的“环日本海环境研究会”,把握中国严重的环境污染和生态环境破坏的现状,并进行意见交换。如本NPO法人章程中“事业”一项中的记载所述,以“东亚”和“实践及环境合作活动”为关键词展开了活动。当初,就“东亚”这个活动范围,是否应该改为“东北亚”成员们进行了讨论。结果是,想尽可能的让活动范围包含日本和韩国,并将东南亚也放入视野内,于是以“东亚”为关键词设定了活动区域。回顾当时,我们NPO法人财力也好人力资源也好都很缺乏,却把活动铺开的太大。结果,自2004 年开始进行对中国陕西省的植树合作活动,变成了仅限于与中国合作。但是期间获得中日绿化交流基金等的支援,持续开展了约600ha,耗资近6000万日元的绿化活动。
我认为我们的活动能够持续至今,是因为有优秀的京都府的林业技术者加入到我们的NPO法人团队中来,并且我们的会员很多是对跨国环境合作非常热心的人士。对于诸位的心尽力我由衷表示感谢。
但是,也不能绝对的说合作就是顺利的。中日之间常常因为过去的历史问题存在内在的风险。因2003年西北大学短剧事件、小泉纯一郎首相参拜靖国神社问题、钓鱼岛问题等,有很多次我们非常担心植树活动能否实施。实际上,在2010年钓鱼岛渔船冲撞事件时,接待方的三原县政府以无法保障日方人员安全为由,拒绝接纳我们到三原县的植树活动。经历了因不可预测的事件使活动受阻,使我深切感受到了跨国合作的困难。
但是,我认为我们与合作伙伴的当地接待方之间已经构筑了非常深厚的信赖关系。去年9月因日本政府的钓鱼岛国有化意向使得中日关系降到前所未有的冰点。但在那种情形下我们仍然实现了11月的植树活动。那时我对于我们与中国合作伙伴间的关系有了深刻的体会。我与9位成员一起去了之前和现在的4所植树地点,作为当地政府来说虽然不能在表面上进行欢迎,但是作为个人我们还是受到了与以往相同的待遇,也再次感受到了人际关系的重要性。
另一方面,在日本国内的活动进行得如何呢。只有我所在的龙谷大学,作为教学的一环在学生的森林完善野外活动中与我们NPO法人合作吧。无论海外也好日本国内也好我认为力量都没有达到。除了完善森林,我们还进行了节能活动。虽然有一些试行错误,但扔在这2年开展了非常充实的活动。特别是上一个年度受到地球环境基金的支援,我们得以着手家庭节能活动。在家庭中的节能意识还很底下。如何使人们能够关心家庭节能,我们颇费了一番苦心,但是我认为也取得了一定的成果。
历经10年我也年近花甲。世界的社会・经济形势也是瞬息万变。虽然我不能确定在成立20周年时我们是否仍然能继续同样的活动,但还是想就今后活动的抱负和课题做一个阐述。
首先,本NPO法人,将本着环境问题无国界的信念继续开展活动。继续以中国为中心并将视野扩大到亚洲诸国继续活动。特别是日本的邻国・中国拥有13亿人口和广袤的国土,中国的环境恶化也直接或间接对日本产生影响。在关注前合作地区的森林成长情况的同时,有机会的话我也想开展新的合作项目。另外,也要关注防止全球气候变暖和保护生态系等方面。在完善森林的同时,也要继续加强在民生部门的节能活动。一方面,在进行完善森林、节能等国内活动的同时,如果能以NPO法人的立场给予我正在研究的“木造房屋与节能”的活动以侧面支援的话,我将非常感激。这项研究的关键词在于木造房屋保存的“传统”、居住的“舒适度”、削减二氧化碳排放量和固碳的“低碳”这些方面。我想将同时实现扩大利用国产材料和削减能源使用量作为毕生的事业进行推进。
课题上,和许多的NPO法人一样,主要在于财政和人员。目前我们还必须要获得外部资金以继续活动,怎样筹措独自财源还有待解决。另外就是扩大会员和强化事务局。因此有必要发挥一定的独立性和对外呼吁。今后也请诸位多多理解与支持。